2019年2月8日金曜日

2019.2.8 日差しと風、ヒヤシンス

少しあたたかいように感じたので、3つの部屋の窓を開けた。北にある夫の部屋の窓から、南にある寝室とリビングの、ベランダへ出ることのできる2つの窓にむけて風が流れた。
昨日洗濯物を取り込み忘れていたことに気づいて、ベランダに出た。洗濯物を取り込んで部屋に戻ろうとすると、レースカーテンが大きくベランダにふくらんでいた。網戸を閉め忘れていたな。
部屋に入ろうとレースカーテンをかきわけたとき、ヒヤシンスの香りがした。わが家の北からきた風が、リビングに満ちたヒヤシンスの香りをわが家の南に運ぼうとしている。
洗濯物をとりあえずダイニングテーブルに重ね上げたころには、すでに部屋は北風に冷えていた。朝の日差しの色にだまされたらしい。そういえば明日は雪も降るという。

薄曇りの午前。出窓のヒヤシンスは光に向かって斜めに咲いてしまったので、昨日わざと部屋の方向にあたまが向くように置きなおした。球根用の花瓶の代わりに丸いグラス、9割まで水を入れて縁に割り箸二本を渡し、その上にお神輿のように球根を置き、二本の箸の両端に輪ゴムをかけてある。さらに、重さで片方に倒れそうなので、そちら側の箸とグラスの間にキッチンペーパーをくしゃっと詰めてある。
透明なグラスにはリラックマのかんたんな顔が白で描かれており、水のなかを上から下へ伸びるヒヤシンスの白い根の束が、クマの顔の内部へ奇妙な柄を施している。彼にあとから与えられた脳みその配線すべてが、スケルトンな顔面を通過しているようだ。脳みそは、あおく咲いている。

レースカーテンの色が一段変わった。ふたたびの日差しである。