2017年3月30日木曜日

2017.3.30 植本一子『かなわない』と書かないでどうするんだの話

4月になったら植本一子さんの天然スタジオで写真を撮ってもらうことにしたので、順序が逆のようだが、植本一子『かなわない』を購入し、二段組になっていないところ(つまりは日記でないところ)を読んだ。二段組は私は目の都合で読めない(視野に上下段ともに入ってしまって目がすべるというか)が、一段組のところだけでも読んだ価値があった。少し二段組の日記も読んだ。



たまに出るラジオの番組HPをリニューアルするから新しい近影がほしいと言われたので、ユリちゃんが前撮ってもらった人にお願いしようと思って、ユリちゃんに電話してみたのだった。そのカメラマンは南阿沙美さんというのだが、3月にやる予定だった撮影イベントはなくなってしまったらしく、「それなら植本一子さんの天然スタジオは?」とユリちゃんが言ったので調べてみてお願いすることにした。

なぜか植本一子さんというのはおばさんでいい暮らしをしていると思い込んでいて、『かなわない』は素朴な生活スタイルを説く本だと思い込んで敬遠していて(すべては本の表紙の印象だと思う)、ユリちゃんに言われるまで植本さんが同年代のカメラマンだと知らなかった。『かなわない』にはユリちゃんが働いていた阿佐ヶ谷の小さな飲み屋で別の日を担当していたゴロゥちゃんが出てくるよ、と聞いて、懐かしくなって買った。

ユリちゃんに子供ができてその飲み屋をやめるというとき、代わりとして私もその飲み屋で働いたことがあったのだが、ようやく一人で店員として立ったその日に来た泥酔客が店で二度も吐いて、嘔吐恐怖症の私はすっかり参ってしまいその日でやめてしまった。そのとき店にちょうど客で来ていたのがゴロゥちゃんで、すべての始末をゴロゥちゃんがやってくれた。だからゴロゥちゃんは恩人で、そんなこともずっと忘れていたけれど思い出して、だからというわけでもないが『かなわない』を読もうと思った。ゴロゥちゃんは日記部分に出てくるのであまりまだその部分は読めていないが、一箇所ゴロゥちゃんの家にバスで行くというところは見つけた。

『かなわない』を読むと、好きな人のことを書かないでどうするんだ、という気持ちになった。私はもう結婚したから書かないことにしようといていた。でもそんなのはずるだと思った。いくらでも書くべきだと思った。いろいろな好きな人のことを、それぞれ書くべきだと思った。

私が書きたくないと思ったのは家庭的でありたくないことと同義だった。幸せな家庭の主婦という存在にまったく興味がないからだ。私がいい奥さんであったりするのは私自身一番気味が悪い。そしてたとえばこういうことを私に書かないほうがいいと思わせたのは夫への配慮だった。へたなことを書いて夫のまわりの人に知れて夫に迷惑をかけたくなかった。いい奥さんをもらったことにしておきたかった。急な結婚にあわせてインタビュー記事も削除してもらった。夫のほうはとくに気にしていないようだったが、うちの親が気にした。

夫は結婚した途端仕事が忙しい時期に入った。朝は7時台に出発し帰りは0時を過ぎる。終電がなくなってタクシーで帰ってくることもある。可能性は理解していたがいざそうなると呆然とした。うちの父親は母より遅く家を出て母より早く帰宅するような職種だったから、結婚すれば夫と毎晩飯を食うのがふつうのことだと思っていた。
一人暮らしのときは新宿の近くに住んでいたからいくらでも飲みに行ったけれど、今の家は最寄駅の柏まで歩いて15分かかるから、夕方一度家に帰ってしまうとそのあと誰かを誘ってどこかで飲んだりはできない。夕方18時ごろから夕飯を食べてしまうと6時間くらい暇になってしまう。友達とメッセージをしたりしてどうにかやり過ごす毎日。
昨日ももちろん夜暇だったのでLINE袋回しなるものに参加した。黒岩とシシオガイとりさこちゃんと私で、各2題で3分ずつ。28句できた。

  ラーメン「大陸」缶のコーンをバターで焼き

これから私は夜のその時間に仕事をすることにする。私はどんなに忙しくても一日に仕事に集中できる時間は3~4時間が限度だから、それを夜にもってくることにするのだ。日中は仕事をせずに家事をしたりブログを書いたり散歩したりして過ごせばいい(と、今これを書いているけれど今日は夜ライブに行くので今日に関しては本当は今仕事をすべきである)。

はやく引っ越したいけれどこう夫が忙しいと引っ越しもできないしとにかく結婚式を終わらせないことには何も始まらない。結婚式は鹿児島でやるので前日年休をとってもらい昼の飛行機で鹿児島にむかうことにしてあるけれど本当に年休がとれるのだろうか。早割で飛行機をとってあるから時間変更がきかない、変更するなら高いお金がかかってしまう、とこの期に及んで小さいことを考えてしまう自分が情けない、でも前日くらいはゆっくりしたいと思うくらいのことは許してほしい。

というようなことを、今書かないでどうするんだ。