2021年8月31日火曜日

2021.8.31 ペガサス

句集を出して2ヶ月が経った。まぁすぐに読める本ではないので、もともと大反響たちまちなんやらなどは期待していないが(というより装幀に金をかけすぎたので重版できません)、そのわりには思いもよらぬ人からご連絡をいただいたりしており、ありがたく思っている。とは別に、これまでの集大成みたいな仕事やこれからの始まりみたいな仕事がいくつか来た。そういう星回りなんだろう。最近は占いもあまり読まなくなったが。

親不知を抜いた。3つに割って、奥で回転させて出したそうだ。なぜ全身麻酔にしてくれなかったんだ、というような辛さで、こういうときのために念仏というのはあるのだろうと思った。形容詞の活用語尾を唱えて耐え忍んだ。抜いたあともかなり腫れた上、帯状疱疹まで出て災難だった(一生に一度しか出ないと言われている帯状疱疹だが、まれに幾度も出るタイプの人間がいて、どうもそれらしい。もう慣れていて、ひどくなる前に薬を飲むので、神経痛と患部が痛痒いのと、少し熱を出す程度だが)。抜糸も済んだので毎日アルコール消毒にいそしんでいるが、まだ腫れている。

最近は自分のことをペガサスだと思い込んでいる。いや、自分がそんないいものではないことはわかっている。馬が、自撮りアプリでペガサスに見えているくらいのかんじだ。かつて流行った動物占いはコアラで、あまり当てはまらないと思った記憶があり、ペガサスの人はかっこいいけど、かっこよすぎるだろ、と思っていた記憶もある。

ペガサスは美しく、飛べるし走る、夢の生き物。そういうものに、私はなりたかったのかもしれない。なにかを理想とするというとき、自分にとって分相応な理想かどうかを見極める必要はないということを、最近ようやく知った。夫から「お疲れ、ペガサス」とLINEがきたとき、胸元を風が吹き抜けるような嬉しさがあった。夫は、先週は一度も終電で帰ってこれなかった。ペガサスはさみしかった。

ペガサスは果物とクリームを好む。酒を飲むと透ける。空を走りながら学ぶ。ペガサスはカリフォルニアにだって行けるだろう。あと1ヶ月だ。

このことは「ペガサス」というタイトルの日記を読んでくれるような人にしか、伝えない。どうせ1年だ。

2021年8月1日日曜日

2021.8.1 『菊は雪』ツアー

7月下旬に博多と長崎、大阪に行ってまいりました。句集出版後だったので、自分としては『菊は雪』ツアーと銘打っての旅行だったのですが、こんな時期なのでトークイベントなどをするでもなく、本屋さんへのご挨拶および最低限会いたい人に会うというだけのささやかなものでした。

旅行前の時点でワクチンは1度目を接種しており、直前数日も人と会う機会は最低限に減らした上で出発。帰京後1週間経過し、自分もお会いした方も罹患していないことを確認したので記録として残します。延期しなかった理由はこちら


 


博多を訪れたのは初めてでした。ジュンク堂書店福岡店では、担当の松岡さんがwebちくまの連載「ネオ歳時記」を読んでくださっていて盛り上がり(ナマエミョウジさんのファン!)、本のあるところajiroでは、店長の坂脇さんだけでなく書肆侃侃房の田島社長ともご挨拶できました。

大阪ではまず、紀伊國屋書店梅田本店さんと梅田蔦屋書店さんにご挨拶しました。 

紀伊国屋書店梅田本店

紀伊国屋書店梅田本店

梅田の蔦屋書店さんでは『天の川銀河発電所』のサイン本もつくりました。


最終日は葉ね文庫にてサイン会。お久しぶりの方や会ってみたかった方と会えてよかったです。


本当はもっといろんな思い出があるのですが、それはまた別の機会に。

旅の作品はこちらでお読みいただけます。

→翻車魚ウェブ 028*2021.8 佐藤文香「夏一覧」 
長崎4句+大阪1日目2句+2日目4句=計10句。