昨日は市役所に行き婚姻届を出して、警察署に行き免許証の名字と本籍を変更した。私の今までの本籍地は父の実家がある香川県だったのだが、今住んでいる千葉県に変更ということにした。今までの人生の三分の一ずつ住んだ兵庫県、愛媛県、東京都をスルーしたところが少し面白い。市役所で国民健康保険の手続きも行ったが、窓口の隣のおじいさんがどうも後期高齢医療に対して文句を言いに来る常連の人のようだった。9ヶ月間ではあるが松山市役所の臨時職員として高齢福祉課で医療保険の係をやっていたので懐かしいものを見る思いだった。ソファに座って待っていたら、家に届いた封筒をそのまま持ってきたおばあさんが隣に座った。職員が封筒を開けて内容を確認していた。それもよくやったことである。千葉なので職員もおじいさんもおばあさんも共通語なのが松山と違うところだ。私はあそこで伊予弁がだいぶうまくなった。
そのまま夫とふたりでパナソニック汐留ミュージアム「マティスとルオー」展に行った。三菱一号館の「オルセーのナビ派展」に行きたかったが美術館というものは大概月曜は休みなので、月曜やっている東京の美術館で調べたのである。ルオーもマティスも有名な作品は知っていたがそれくらいだった。ルオーの作品が多かったが、後半はもうルオーだなぁという感じで、むしろ1907年ごろの輪郭線の薄いさらっとしたのが見られたのがよかった。それよりマティスの切り絵になる前のが面白かった。べたべたと描かれて遠近がよくわからなくなっている「窓辺の女」などが気に入った。ふたりの師であるモローという人の、「モロー」という名前が気に入って繰り返し唱えた。
ルオーの絵をコレクションしたという日本人の画商・美術評論家が夫と同じ名字で、調べてみるとその妻も随筆家だというので親近感が湧いた。新しい名字の始まりとしてはいい偶然だと思った。とはいえ本名は基本的に非公開、佐藤で書いていくつもりなので、これを読んで私の新しい本名がわかった方もWikipedia等に追記しないでください。
記念写真を撮るコーナーがあり、赤ちゃんを連れたお母さんがいたので、「よかったらお母さんと一緒に撮りましょうか」と言ったら「マスクしてるんでいいです」と言われたが、夫が記念に図録を買っている間私がうろうろしていたからか「やっぱり撮ってもらってもいいですか」と言われ、もちろん写真を撮ってあげた。我々も一人ずつ撮影した。
夜は近所のお店に行った。クリスマスイブに行って美味しかったのでまた行こうと言って行ってみたが、料理の味は相変わらずいいのにグラスワインがハウスワインの一種類しかなくなっていて、それが非常に不味く残念だった。食べ終わるというときに、入院している年上の友人の体調が思わしくないという電話が入り、近日中にお見舞いに行くことになった。芸術的でエッチな写真集でも買って行ってあげないと、と思った。
プリンとチョコレートを買って帰宅して、いただいたいいワインを開けて1杯だけ飲み、風呂に入って寝る用意をしてから指輪を交換していないことに気づいた。結婚指輪をするのを結婚式まで待つか役所に届けた日にするかはネットで調べたらどちらもあるとあったので届出日にしようということになっていたのだ。布団の上に正座をし、指に押し込みあった。私の指輪は小さく作りすぎて、結婚式当日に抜けるかが甚だ怪しい。なお、婚約指輪は私の意志で省略した。
私からのどういう家庭にしたいかという問いに対して、夫は楽しいのがいい、食べ物が美味しいのがいい、健康がいいと言った。食べ物については私の担当なので努力あるのみだ。私としては、一般的な楽しい家庭像を目指すのでなく、我々らしいやり方でやった結果たまたま楽しい家庭のようになってしまったりするのを面白がるようなのがいいだろうと言った。