我々はゆとり世代よりちょっと上なのだが、そのころくらいからだろうか、総合学習の授業というものがあり、好きな科目を選択できた。私は音楽が好きでシンガーソングライターになりたい(!)だとか思っていたので、もちろん選択音楽「作曲をしよう」を受講。どこかにも書いたおぼえがあるが、パソコン室での授業で「Music Pro for Windows」という作曲ソフトをつかい、自分でメロディーラインとコード進行、書きたい人は歌詞も書くというもので、当時はピアノも習っていたし、自分なりにすごくがんばったのだが、納得のいくものはできなかった。早い段階でシンガーソングライターになる夢を諦めることができてよかった。
選択英語は「英語の歌を歌おう」だったので、これも受講した。担当は担任の加藤宏子先生だった。独身だったので「Miss. Kato」「ミスカト」と呼ばれていた(現在ではこのあだ名はちょっとアウトだろう)。
中学1年のときに選択英語の「英語の歌を歌おう」で習った曲の曲名がどうしても思い出せず、「So excuse me forget」で調べたらElton John「Your Song」だとわかったのでインターネットに感謝している(forgettingだったが)
— sato ayaka (@kamonnohashi) October 10, 2020
あのときミスカトが全員のカセットテープ(!)に入れてくれたプレイリストは何度も聴いた。全曲の英語と日本語訳(たぶん先生自身が考えたのではないか)の歌詞カードも配布され、ホチキス留めの冊子にした。今思い出せるだけでも、
The Beatles「Yesterday」「Help!」「Michelle」
The Carpenters「 I Need To Be In Love」「Yesterday Once More」
Billy Joel「Honesty」「The Longest Time」
Elton John「Your Song」
Eagles「Hotel California」
Stevie Wonder「You Are the Sunshine of My Life」
Eric Clapton「Tears In Heaven」
Eric Clapton「Tears In Heaven」
あたりが入っていた。
もっと聴きたい人はさらにもうひとつカセットを渡すと、それにも曲を入れてくれたように思う。中学生には難しいものもあったけど、とにかく歌うことが好きだったので、歌えそうなものは「イッツァリルビッファニ〜」などと一所懸命カタカナを振ったりして、英語っぽく歌えるように練習した。普通の授業でも、[θ]、[æ]などの発音記号から発音を教えてくれたので、授業をよく聴く生徒だった私は、ミスカトのおかげで、単語ごとの発音なら悪くはない。なお、歌の意味内容にはほとんど興味がなかった。
そういうわけで、英語を聴くことのはじめは音楽を聴くのと結びついていて、その限りにおいては苦手ではなかった。実際、中学1年のときは校内の英語の暗唱大会に出て、中学2年では学年で1人高円宮杯の英語弁論大会に出た(これは英語ができるからというより、ミスカトと仲がよかったから)。でも、その弁論大会では、とくに弁論したい内容がなかったから、母親が書いた原稿をミスカトに英訳してもらい、それをミスカトに音読してもらったものを聴いて練習したのだった。英語力は英検3級レベルだったのに、日本語の文章が難しかったため、当然英訳されたものも難しく、なかなかちゃんと覚えて言えるようにならなくて、ミスカトに怒られて泣いた。その後ミスカトは病気で入院してしまい(卒業前に退院した)、代わりにジャミラというあだ名の先生になって、私は英語があまり好きではなくなってしまった。