この前、カラオケに行った。句会後の、飲み会のあとだ。
鴇田さんと若くんと私で、だ。
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福田若之とは2011年『俳コレ』で私が福田若之100句の小論を書くときに親しくなった。就活に失敗したまま大学を出た私は、どうにか第一句集『海藻標本』を出し、その1年は東京で粘ったが、その後2年間松山に帰り、とくにあてもないのにまた東京に出直してきた。それが2011年である。当時私が住んでいた笹塚の1Kのアパートで、生駒大祐と3人で遊んだ日の写真には、折り畳みのすのこベッドが写っている。狭かったが友達は呼べるようにしたかったから、普通のベッドを置かなかったのだ。この写真はお気に入りに入れていて、今でもたまに見る。
その後少し高円寺に住んだ。第一期guca時代。死んだゴキブリの処理ができず、雪舟さんが我が家に駆けつけてくれたのもいい思い出だ。このとき夢を語った太田ユリは左右社でどんどん夢を叶えている。雪舟えま『地球の恋人たちの朝食』、ついに書籍化。『**のうた』シリーズ、いいですよね。
10年前の2014年11月20日、第二句集『君に目があり見開かれ』が出た。
手紙即愛の時代の燕かな
歩く鳥世界にはよろこびがある
風はもう冷たくない乾いてもいない
冬晴れて君宛の手紙はすべて君に
また美術館行かうまた蝶と蝶
そのころの私は、中野新橋のマンションに、自分より5〜10歳若い友達を呼んでは句会や鍋パーティーのようなことをして、元気を出していた。毎回写真を撮った、それらもお気に入りに入れてたまに見ている。飛騨高山に旅行に行ったのも懐かしい。そのとき一緒に行った黒岩徳将の第一句集『渦』が今年出た。青木ともじの第一句集『みなみのうを座』が、もうすぐ発売になる。一方で自分と同年代の人たちは、とっくにちゃんと社会人をやっていた。
鴇田智哉第二句集『凧と円柱』が出たのも2014年だった。田中裕明賞は誰がどう考えても『凧と円柱』だと思っていたが、蓋を開けてみると小川軽舟・岸本尚毅のイチオシは『君に目』で驚いた。あれはありがたいことだった。もしあのとき、この句集が完全に無視されていたら、私は俳句から離れていたかもしれない。自分にとって面白かった『凧と円柱』がちゃんと田中裕明賞を受賞したことも、よかった。
2014年、私は29歳だった。
俳句を書くこと、人を好きになること、酒を飲むことしかできなかった20代だった。
今もあまり変わっていないけれど、最近は、自由詩を書くことを覚えた。
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若くんが「secret base〜君がくれたもの」を入れたから、私も歌った。
ハモりもしたが、ユニゾンのサビこそ素晴らしいのだ、この曲は。
君と夏の終わり 将来の夢 大きな希望 忘れない
10年後の8月 また出会えるのを信じて
最高の思い出を ZONE「secret base〜君がくれたもの」
冬木立しんじれば日のやはらかさ 『君に目があり見開かれ』